March 25, 2010

 PHS使用歴10年(後編)

昨日のつづき。PHSユーザとしての10年を振り返っています。

2005年の師走に購入した「WX310K(京ぽん2)」。なかでもFlashは端末のポテンシャルを引き出すための最高の環境でした。モバイル環境ではFlash Liteという特化版が採用されることが多いのですが、京ぽん2ではフルバージョン(Flash 6相当)が実装されました。定番のゲームはもちろん、mp3ストーリーミングによるネットラジオ再生を可能にした「京らじ」、RSSリーダーなど、多種多様なコンテンツが制作されました。ユーザーの盛り上がりは留まるところを知らず、漢字変換辞書のフォーマットまでもが解析され独自の辞書の作成が可能になったりと、まさに京ぽん2をしゃぶり尽くしたのでした。かく言う自分も、ネットラジオ、ブロック崩しやポーカーなど、大いにハマったくちです。

一方、WILLCOMは音声定額やスマートフォンを武器としてユーザーを順調に獲得し続けて行きました。2006年の春には、来年の株式上場向けて準備中という報道もあり、イケイケ状態であったことが伺えます。同年10月には携帯のナンバーポータビリティ(MNP)の開始、携帯電話では実現が厳しいと思われていた音声定額(ソフトバンク「ゴールドプラン」、翌年1月には「ホワイトプラン」)が発表されました。大きなうねりの中にあっても、2007年7月には加入者数は最高(4,659,100)を記録しました。しかし、それも束の間。翌月には純減。それからは、増加に翳りが見え始めるのでした。番号が070で始まるPHSは蚊帳の外であるはずのMNPですが、そこから始まった激しいシェア争いに、否が応でも巻き込まれて行くのでした。

2008年6月、遊びに遊んだ京ぽん2から「WILLCOM 03」に機種変。個人的には、初めてのスマートフォンです。当初はカスタマイズしまくりの自由度に大喜びでしたが、環境構築も落ち着いてくると、それが逆に電話としての機能を危うくすることが分かってきました。謎のフリーズ、Lメールの取りこぼし、などなど不可解な現象が…。スマートフォンの理想は盤石な電話機能+各種アプリによるカスタマイズですが、どうもPDA+電話機能の範疇からは抜け出せていない印象を持ちました。それでも、現在は何とか手懐けて使えるような環境になっているかと思います。

それからのWILLCOMは抜本的な対策を打ち出せないまま、純減傾向に。携帯各社も揃って(適用範囲に差があるものの)音声定額の提供を開始し、安泰だったデータ通信も2007年3月のイーモバイルのサービスインにより、より高速なインフラを求めるユーザーが転出して行きました。ここからはご存じの通り、2009年9月の事業再生ADR申請、2010年2月には会社更正手続きの申し立てを行い経営破綻となります。ユーザーとしては、そこまで追いつめられていたのかと驚くと同時に、何とも残念な気持ちになりました。

こんな感じでざっと10年をおさらいしましたが、前後編に分かれる長文エントリになってしまうとは、いつになく力が入ってしまったようです。いずれにしろ、WILLCOMはようやく再建のスタートラインに立ちましたので、今後も注意深く動向を見守ろうと思います。

投稿者 bitterbit : March 25, 2010 09:30 PM