Apple社で製品開発の責任者を務めたジャン=ルイ・ガセーは同社をスピンアウトし、オペレーティングシステム「BeOS」の開発を行うべく、Be社を興しました。1990年のことでした。
新世代OSの開発にことごとく失敗したApple社が、新世代OSの代替候補として「BeOS」に白羽の矢を立てたこともありました。全く白紙の状態から設計され過去のしがらみが無い分、荒削りな部分もあったものの限られたリソースでも軽快に動作することから、将来性を買われたのでした。ただし実際に選ばれたのは、スティーブ・ジョブズのNeXT社が手掛けた「OPENSTEP」で、これが「MacOSX」のベースとなっています。
大きなチャンスは逃したものの「BeOS」の開発は続けられました。日本でもプリインストールPCが販売されるなど一定の成果を上げましたが、2001年にはBe社の資産は売却され、開発は凍結されました。このまま歴史に埋もれていくかと思われた「BeOS」ですが、先進的な設計に興味を持った世界中の開発者により、オープソースの実装として息を吹き返すことになります。「Haiku OS」は現在も稼働中のプロジェクトととして開発が続けられており、「BeOS」の末裔と呼んで差し支えのないOSです。
ついに今回、8年という長い歳月を費やして「Haiku OS R1α1」がお目見えしました。アルファ版ですので常用するわけにはいきませんが、早速試してみることに。まずは、公式サイトからisoイメージをダウンロードし、CD-Rに焼きます。こちらはインストーラ兼LiveCDとなっており、起動途中に表示されるダイアログで「Desktop」をクリックすれば、しばらくしてデスクトップが表示されます。Firefoxベースのブラウザも搭載されていますので、これだけでwebブラウジングも可能です。その際、ブラウザのフォント設定で「Konatu」フォントを選択すれば日本語のページを表示させることが出来ます。かつてPowerMac版「BeOS」のプレビューリリースを試したことがありますが、その時以上に動作は軽くなっており、長所は綿々と引き継がれていると感じました。
歴史の「たられば」を考えても仕方がありませんが、あの時AppleのOSとして採用されていたら、Macは今頃どのような進化を遂げたのでしょうか。興味深いところです。それはさておき、今後はネットブック用のOSなどに活路を見出すなどして、盛り上がりを見せて欲しいところです。