「Android」はGoogleが中心になって開発している、Linuxベースの携帯電話のプラットフォームです。
開発推進にあたり「Open Handset Alliance(OHA)」が結成され、世界各国の関係企業が参加しています。日本からはKDDIとNTTドコモが名を連ねています。一方でWILLCOMはこの流れにコミットしていませんでした。ところが今回、独自の小型通信モジュール「W-SIM」の振興団体である「WILLCOMコアモジュール・フォーラム」の参加企業が、W-SIM開発環境上で「Android」の動作に成功しました。
動作環境はフリースケール・セミコンダクタ「i.MX31(ARM11)」搭載のリファレンスボードで、アプリケーションなどは問題なく動作しているものの、W-SIM経由の通信はできないとのことです。現状では、あくまでも技術デモという位置づけだと思われます。本来「Android」は、W-SIM端末での動作については想定していませんので、フォーラム参加企業によってその穴を埋めるソフトウェアの開発が行われれば、「Android」ベースのW-SIM端末も夢ではないと思います。
W-SIMは高騰する端末開発への一つの回答として、通信回路をモジュール化して提供し、最もコストを必要とする部分の開発を省略できるというメリットがあり、より多くの企業の参入を促すものでした。これにオープンなソフトウェアプラットフォームの「Android」が公開されたことにより、ハードとソフトという車の両輪が揃い、端末開発のハードルをさらに下げるものになるかもしれません。そう考えると、W-SIMの存在はより重要性を帯びて来ます。
「Android」なW-SIM端末が、現実のものとなるか否か、今はまだ分かりません。しかし、WILLCOM、そしてコアモジュール・フォーラムにとっては、計り知れない可能性を秘めたものであるのは間違いないと思います。