今日はシカゴブルースの巨星、Howlin' Wolfの問題作「THE HOWLIN' WOLF ALBUM」です。長年に渡ってLPの再発も、さらにはCD化も実現しなかったタイトルです。
ウルフの代表曲を中心とした構成で、選曲だけを見ればベスト盤的な位置付けも出来るかと思いますが、問題なのは楽曲のアレンジが当時のムーブメントを取り入れたサイケデリック・ロック調になっている点です。全編に通して歪んだギターとワウが使われ、まるでメリハリというものがありません。ボーカルは相変わらずパワフルで己のスタイルを貫こうとしていますが、せっかくの持ち味が埋もれがちになっています。それでも、へヴィなリズムの「Built For Comfort」、ベースラインが印象的な「Evil」、そしてラストに控える「Back Door Man」などのアレンジは結構気に入っています。ウルフ本人はレコーディングが嫌で、家に立てこもったというエピソードがあるそうです。しかし、やると決まれば手抜きはありません。たとえバックがサイケであっても、ウルフはウルフのやり方で挑んでいるのが分かります。
なお、もう1枚「MESSAGE TO THE YOUNG」(Chess CH-50002)というCD化されていないアルバムがあります。こちらの作品がどんなサウンドなのかも、興味が尽きません。