アップルのスティーブ・ジョブズCEOが自社サイトにおいて、音楽配信のあり方ついて綴った文章「Thoughts on Music」を公開しました。
この中で、現状においてiTMSで販売されている音楽ファイルにDRM(著作権管理)技術が用いられているのは、楽曲の権利を持つレコード会社からの要請によるものと説明し、もしDRMが解読された場合は数週間で問題を修正しないと、レコード会社はすべての曲を引き上げるという契約であることを明らかにしました。その上で、DRMの根本的な問題点として、高度な暗号化を施しても解読用の鍵を使う以上それをどこかへ隠蔽する必要があり、時間に余裕のある「頭のいい人」によって鍵を発見されてしまっては効果がないと指摘し、対策がイタチごっこになるとしています。
このような現状を考察した上で、将来において3つの選択肢があると述べています。
アップルは選択肢3を支持しているわけですが、これにはヨーロッパ各国でiTMSで購入した楽曲がiPod以外のデバイスで再生できないという批判をかわす意味もあると思われます。ジョブズ氏お得意の説得パターンで「我々のFairPlayが悪いのではなく、そもそもDRMを要求するレコード会社に問題がある」と世論を誘導したいのかも知れません。とはいっても、音楽配信最大手のCEOが「DRMは不要」と意見を述べるのはかなりのインパクトがあります。
これを受けて、大手レーベルが「DRMは止めます」と直ちに方針変換するとは思えませんが、文章の公開が音楽配信のあり方について議論を深め、我々ユーザにとってより良いサービスへと進化するきっかけとなるのであれば、歓迎すべきことだと思います。