雑誌の編集・制作を人件費の安い中国で行う動きがあると、産経新聞が伝えています。
日本への留学経験のある人材を中心に立ち上げられた制作会社が上海にあり、日本の出版会社が機材や資金などの援助を行っているそうです。DTPに関して初めは、簡単な組版をこなしていましたが、今では編集とデザインは全て中国で行っています。制作会社の社長によれば、日本人編集者1人を解雇すると、中国で8人雇えるというほど強力なコストダウンのメリットがあるそうです。
同じ業界の端にいる者として、この記事を読んでかなり脅威を感じました。しかし、落ち着いて考えてみれば、商業出版における組版のルールは一朝一夕に生まれたわけではなく、またそれを習得するのにも時間がかかります。いくら日本語が話せるからと言って、プロの目にかなうクオリティの組版がそう簡単に作れるとは思えません。
シャープの液晶テレビ「亀山モデル」ではありませんが、クオリティを求めるのであれば、やはり国内で制作する以外に方法はないでしょう。また組版とはそれくらい奥の深い作業であると、これは実体験として言えることです。
個人的には組版もひとつの文化だ考えています。これをコスト優先の名目だけで海外に発注するような発想は、あまりにも残念でなりません。