July 12, 2004

 音楽を点滴する機械

初代ウォークマン「TPS-L2」が発売されてから、この7/1で25周年を迎えました。

ウォークマンといえば、ヘッドホン・カセット・プレーヤーの代名詞であり、そのジャンルを開拓した商品であることは言うまでもありません。私も高校に入学した頃に「WM-701C」を購入し、幸いなことにSONYタイマーが発動することなく5年ほど使っていました。

ウォークマンをはじめとするヘッドホン・カセット・プレーヤーは音楽と人との関わりに様々な変化をもたらしました。作詞家の阿久悠氏はそれらを「歌を耳から点滴のように流し込む機械」として、音楽が作り手と聞き手の間の単なる情報伝達になってしまった元凶だと指摘しています。

氏の指摘は、多くの人が世代を越えて共感を持つような音楽、いわゆる流行歌の消滅を嘆いてのことだと思います。しかし、多種多様な情報があふれ、それに伴い人々の価値観も多種多様化していくのは、ウォークマンの登場を待たずしても不可避の現象ではなかったかと思います。

現在、ウォークマンの子孫とも言えるipodに代表されるシリコン・プレーヤーが台頭しています。これらのデバイスがどのように我々と音楽の関係に影響を及ぼすのか、10年後、20年後が興味深いです。

投稿者 bitterbit : July 12, 2004 08:51 PM