インターネットに接続された膨大な機器を識別する番号をIPアドレスと言います。
たとえばそれは「192.168.0.1」みたいなものなのですが、「www.google.co.jp」は「216.239.53.99」だったりします。
しかし、このようなアドレスを覚えるのは面倒だし管理にも不便である。ということでDNSというシステムが開発されました。これはアドレスのかわりに「www.google.co.jp」というドメイン名を使ってインターネットに接続された機材を識別するものです。
DNSはドメイン名とIPアドレスが対になった情報をデータベースとして持つことで、ドメイン名「www.google.co.jp」はIPアドレス「216.239.53.99」との情報を提供します(その逆:IPアドレスからドメイン名も可能)。
つまりいつも何気なく、ブラウザにドメイン名を入力して様々なサーバにアクセスできるのは、DNSのおかげなのです。ネットワークの設定でネームサーバアドレスを入力する欄がありますが、これはお使いのコンピュータがDNSサービスを提供しているサーバにアクセスするために必要な情報です。
と、予備知識はここまで。現在ベリサイン(Verisign)というアメリカの企業が、「.com」および「.net」ドメインの登録と管理を行っているのですが、ここがDNSに行った変更が物議を醸しています。
というのも本来、登録されていないドメイン名(例:http://www.usousoarienaidomain.com/)にアクセスした場合、DNSはきちんと「登録なし」と言う情報を返してくるのですが、今回ベリサインは登録されていない全てのドメイン名に対し、Site Finderというサーチエンジンのある自社のサーバへのIPアドレスを返すように登録したのです。
先程の「http://www.usousoarienaidomain.com/」にアクセスすると、本来「該当サーバなし」の回答があり、ブラウザにはページは表示されないのですが、現在ではベリサインの用意したサーバへと接続してしまいます。つまり、「.com」と「.net」に関して言えばDNSに問い合わせを行うと必ずIPアドレスが返される状態になっているのです。これが何を意味するかと言えば、例えば、メール・サーバなどで、存在しないドメインからのメールを全て拒否する設定にしている場合、「.com」と「.net」に関しては必ずIPアドレスが返ってきますのでこの様な方法のスパム・メール対策が台無しになります。
このおかげ(?)で世界中のシステム管理者は右往左往していると思われます。
ベリサインが独断でこの変更を行ったのは横暴としか言えません。
一刻も早く元の状況に戻ることを切に願います。